夢電話の話


日がな放っておけば

カメのようにいくらでも眠れる。


カメがいくらでも寝ているのかは

わからない。


最近職場の近くの猫に加えて

沼みたいなところに住んでた亀が

きれいな水槽に住むようになったので

日向ぼっこしたり


日向ぼっこするために水面から

上ろうとチャプチャプする様を

眺めたりしている。


もちろんタイムカード切る前だったり

仕事を終えて切った後のことである。


ともあれ

夢の中でする電話の話。



この間昼寝しながら夢うつつの中で

電話が来た。


あまりにも寝ぼけていたので

何だ電話を取る夢かと思っていたら

本当に電話が来ていたらしい。


もがもが夢の中で少しもがいてから

出たような気がするが

なんだ切れてしまったのかと思ったら目が覚めた。


現実からの電話は祖母からの電話だった。


ついうっかり、おはようございますなんてお昼も過ぎた頃に言ってしまったので

またこいつは昼寝を貪っていたんだなと思われただろう。


カメのように眠れるのだ。


もし、夢の中の自分に電話する人がいるならそれは誰だったんだろうか。


夢電話、もしもし。

もうかけて来れない人がかけてくる電話、夢電話。


もしもし、元気しているならそれで良いけど。


夢電話、中島みゆきみたいな世界のはなしである。


用があるなら折り返してください。

もしもし、もしもし。


そんな日。


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ネギタン塩



伴奏と伴走の話。


万年休日に毛が生えたような日々を過ごしている。


友人は結婚し、

(このフェーズの悲しみは友人の少なさからもう当分は訪れないであろうと推測される)


赤ちゃんができて

(これは不意にまだ訪れる気がする)

彼らの成長過程を眺めて


いつかは彼らの成人を祝うような日が来る。


こと人生を歩く毎に、選択の分岐路があって

右だ左だを選んできた。


そう考えると生まれてから

なんだかんだ年齢を軸に前進はできても

止まる事は起こっていない。


でもどうなんだろう。

進んでいると思っているだけで

ハムスターのようにカラカラと

まわし車の中を走り続けて


その場に走ってると思っているのは自分だけで

実はその場に留まり続けているだけなのではないだろうか。



あるいは陸上競技のコースのように

一斉に走り出す。


将来について考えるのはこの時期

受験について考えるのはこの時期

就職するのはこの時期

結婚するのは、子供ができるのは……


周回差がついて友人らに

手を振られながら

徐々に沈んでいく足。


呼吸する肺も循環させる心臓も

前へ進むための脚も腰も

疲れ果てて倒れ込みそうだ。


あまり人と比べる人生ではないが

考えただけで息苦しくなってくる。


けれども現実逃避というスキルが高いので

時折そんな想像に心ざわめかせたりもしつつも


まぁなんとか明日の自分にたすきをかけたりして走ってる。

考えなしともいうだろうが、全部想像に過ぎない。


疲れたら寝る、悩んだら寝る

後悔あれば食う。


生きてさえいれば何とか光明を見つけられるんじゃないか


誰かの日々に音楽を添えたり

走り続ければそばを励ましながら走ってくれる人間も現れてくる。


そう思いながら生きる。


そんな日。



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夢の中の電話



常識を疑ったりする話。


何かの折、常識を疑うような時には

ひいては自分自身を疑うこととなる。


なぜなら常識とは自身に内在するものではなく

社会のうちにあるものであるからだ。



全く悔しい。

定義も小難しいことも関係ない。


これは常識じゃでって自分で言ったところで

マイナールールでしかないことに気付かされる。


ほんと悔しい。

こんなことならいちごホイップクレープにしておけば良かったのだ。

生苺のシーズンだし。


そもそもどうしてこの店のホイップは

やや多めに入っています。

少なめご希望の方はあらかじめお伝えくださいみたいな


ホイップ常設してますという風な貼り紙トラップを設置しているのか。


いや、確かめなかった自分が悪いんだ。


生クリーム抜きアーモンドチョコバナナクレープに罪はない。

生クリーム抜きアーモンドチョコバナナクレープに罪はないんだ。


罪はないが後悔は深い。

海溝を覗き込んでいる。


骸やら何やらが雪のように漂い

リュウグウノツカイが泳ぎ

底では目の必要のなくなった魚たちが

感覚だけで獲物を狙っている。


そんな後悔の底。


まぁでも良いのだ。

次回から生クリームは入ってますかと

尋ねればいいし

リベンジマッチを果たせば良いのだ。


大人になるということは

好きな時にパーティーが開けるということ。



我々の究極のクレープの探究は続く。


そんな日。



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分岐路



むしむし、蒸し蒸しの話。


虫は苦手なんだけども

最近はミミズ、ダンゴムシ、ムカデ

謎の芋虫(白)、謎の芋虫(緑)が

とりわけ苦手だ。


もともと漠然と苦手だったものが

作業中に視線の端でモゾモゾされると

勝手に追尾して発見し拡大されるので困る。


行く先々道中で良くも悪くも

視野の解像度が異様に跳ね上がったようなそんな感じ。


タマムシみたいな

気づくまでは何もいなかったのに

ふと気づくとどこにも蚊柱がある!みたいな

そんな感覚。


そうして先々で虫の波動を感じていると

なんとなくいそうなところをめくると

いるので困る。


そういうところに限ってゴミが落ちてて回収しないといけない。



それはさておき。

先日掃除中にふと目をやると

ダンゴムシが重なってた。


ダンゴムシの交尾、あれはダンゴムシの交尾だ!って苦手なんだけども

興味が止まらなくてしばらくその場所を通るたびに眺めていた。


その日はちょっと忙しくて大変だったのだけれど、思えばあまり虫の交尾見たことなかった。


なんかそのダンゴムシは見れたんだけども

周りにちょっとずつ単体でいるダンゴムシはやっぱりいつものダンゴムシでぞわぞわっとした。


帰ってからダンゴムシの求愛とか

ダンゴムシの交尾について調べてみた。


それに至るまでに2匹のダンゴムシの全力疾走があるらしいんだけども想像したら面白かった。


虫が苦手なくらいで仕事避けてちゃダメだとか雇い主でもない人間に色々言われて腹が立ったりもしたけれど

まぁ良いやってなる。


そもそも店長は良いよって

言ってくれているんだから

全力でトイレ掃除を頑張りたい。


そんな日。


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チョコバナナクレープ

前にも聞いたなって話。


その靴、どこどこのブランドだよねって

モップがけに奮闘しているときに声をかけられる。


その話前も聞いたな、


でも歩きやすくて本当に良いよねって

言われると自分でも気に入っているので

何度言われても嬉しい。


まぁその人の指してる靴と

自分の履いてる靴が同じものではないような気もするけど。


毎週この日はお客さんが少ないのかな。

前回の時も入り口から見える空を眺めながら

早く水拭きした場所乾いてくれって念波送ってた時に靴の話題をしていた。



戻って、自分の履いている靴。

この場所で働くときに脱ぎ着のしやすい靴と

決めて買ってものを

そのまま履き続けている。


頑張りが靴にも出ているのか

中敷が剥がれてきている。


とても気に入っているので

二足買っておけばよかったな。


同じ靴を買いたいけれど

どうやらのそのブランドではないようで

探せなくて困っている。


ただ同じようなスリッポン⁇は

ワークマンで目撃されているようで


今度からはその靴どこで買ったの⁇

という質問にしどろもどろにならなくて済む。


ただワークマンです!って答えるのは

なかなか面白いような。


悩める。でもなんとなく自分のこの話も


前にどこかで聞いたなって話かも。


そんな日。



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ダンゴムシの交尾


世界の果てみたいな場所の話。



最近は色々ぼんやりしてる。


風呂に入ればぼんやりしていて、

シャワーのために目をつぶれば

目の前には草木と青空と風の匂いがする。


どこまでも景色が広がってる中

自分は全裸でぽつんと立ちすくんでいる。


良い景色だなぁと思う心の余裕があれば

良いのだけれど


そんな草原に裸のまま放り出されて

シャワーを浴びてもスッキリしなくてまいる。


せっかく就いた仕事だから辞めたくなくて

今の仕事なら半分寝ながらでも

作業できる。


少しずつでも続けていこうと思っていたのに

仕事の日数を減らしてもらって

今週の始まりを切るつもりが


病院に行って熱っぽい日が続いて

それはいついつからで、みたいな話をしたら

すごく怒られてしまった。


ゴールデンウィークって先週の話じゃなかったっけ。


今の時期はどこもお医者さんはピリピリしてるよって言われたけども

そうかもしれない。


行かなきゃがんばらなきゃ〜が

2週間延びたので良いことにしよう。


誰もいない海辺で寝そべって

日が沈む様を見たい。


空が青、橙、むらさき、ピンク、様々に移ろって

それに伴って雲の形が大きくなったり小さくなったり幾つも流れて行って


十二分に満足した頃に

人間の世界に帰りたい。


たぬきだからやむない。

たぬき仲間と空を眺めながらのんびりしたい。


また世界が早く回り始めた気がする。


そんな日。


孤独の中に死んでいく人々の話


友人の勧めてくれた本が読み終わって

しばらく会ってなかった友人が

主人公を訪ねる話があった。


たまたま水族館のチケットが余って……

なんて言っていたけれど

本当はその人に会いたくての口実だった。


死んでしまおうと思ってたけども

できなかった。


最期に会いたかったから、嘘をついた。


主人公はその日の最後に

どれだけボロボロになっても、(中略)君を好きなままの私が、少なくともいるから、安心して生きてほしいと告げる。


自分はあまり主人公に似てると言われて勧められたこの本の主人公のこと

半ば自己嫌悪みたいな呆れみたいな

あるいはみてられないような不安とないまぜの気持ちで眺めていたけども


どちらかといえば死んでしまおうと考えてた友人の方に心寄せてしまって


本の中ではコロナは流行ってないし

会いたいと思えば会いに行って

止んだ自殺もあったかもしれない。


コロナだ不要不急だ、自粛だ何だ

そういう事を気にするような人は

最期でも良いって会いたい人に会えたのだろうか。


自殺する人が増えている。

せめて会いたい人に会って、

死んでしまいたい気持ちが遠回りしたり

最期だとしても会えてよかったと思って真っ当できたら良いな。


好きな人々が先をいってしまうの悲しい。

それでもそれを選んだことは尊重したい。


せめて孤独の中に死んでいく人が減る事を祈る。


そんな日。


妹の命日も近いしな。