ひとり遊びの話。


イマジナリーフレンドしかり

現実逃避ならいくらでもできる気がする。


現実逃避の逃避からの逃避みたいな

段々正気に戻ってきたら

それは現実逃避の成功なのではないか。


着地点、現実。七回転半ジャンプ。


ともかく現実逃避。

人が滅多に来ない一角で今日は掃除していた。

とても良い場所だ涼しくて、

人も来ない空想にはとても良い。


そんな時には一人で

誰かとコンビを組んでるふたりの

漫才師のことを空想する。


漫才の入りから、

身振り手振りでボケ役がわちゃわちゃしゃべって

ツッコミ役はふむふむ、いやそれじゃ

〇〇やないかい!あかんやろ!って


しばらくコントして

挨拶してコンビ名紹介して

舞台袖に戻る終わりまで。


拍手はない、徹頭徹尾

二人だけのコント。



ただ、特に考えもしなかった。


漫才考えるなんておかしいなんて、

もうその時点で面白いとまで言われた。

肝心のネタの話はまだしてないのに!


恋人の方がずっと漫才を見てる。

自分の方はあんまりだ。

漫才のシナリオを書きたいなら

もっと漫才を見るべきなのかも。


お前自身がコントだよ!

悲劇的な人生と言われるよりは

コメディ、面白い人生だったねと言われたい。


現実はわからない、でも笑ってれば

楽しい人生だったとは思えなくても

及第点くらいは通過できるんじゃないか。


夜な夜な空想してたネタを書いて

読んでいる本に挟んだ。

休日に会う恋人に読んでもらうためにだ。




たびたびリスのように、メモを

ほんに挟む。


A3の割と大きい紙に書いた

好きなキャラとかの落書きを

折り畳んでしおりがわりに本に挟み

そのまま返してしまった。


図書館の司書さんも

いつもはあんなにくどいくらい

中身の確認をするのに!


しばらくして高校に入った頃。

この本、小学生だった自分が好きだったな、

なんて手に取ったらそのメモが出てきた。


腰を抜かすかと思った。

誰も借りなかったのか!?この名著を!?

って気持ちと誰も借りないでくれ頼む!!

って気持ちが入り混じって頭を現実に抱えてしまった。


ちょっとしたタイムカプセルが恐ろしかった。

忘れた頃に本を売るのが、読み直すのが少し怖い。


不意に爆発する爆弾のような、

自分の描いた漫才のネタが

年を経て爆発しないことを祈る


恐ろしい夜

そんな日。