もう何も頑張らなくて良いの話。



時々ぬるま湯に浸かってぼんやりしながら

お前はもう何も頑張らなくて良いと

天井を眺めたりなんかする。


そんな日はなんか心が薄暗い日だ。

決まって休みの日だったりなんだしてる。


妹が死ななくても就活は失敗していただろう。

なんで自分の方が生きてるのかなとか。

どんどん薄灰色の雲が心を覆っていくみたいだ。


そんな風になるとなんだか

お前はもう頑張らなくて良いって声に

うっかり耳を貸しそうになる。


それは良くないことだ。

わかってはいる、ただいつまでそれに抗っていられるだろうか。


もう何もかも疲れてしまったら、

あるいは、もう何もかも満ち足りてしまったら

自分は事切れてしまう気がする。


あぁ今日は良い日だな、とぼんやり思いながら不意に階段から転げ落ちそうな気がする。


職場で無理に笑うことはないさ。

もう疲れたろう。

そんな言葉に耳を貸したくない。


ただ漠然とした、これ以上自分はどこへも行かれないだろうみたいな気持ちが覆ってくるとだめだ。


どんなに自分を大事に思う人たちがいるとわかっていても、

わたしもいつか妹のように全てを投げ出してしまうんだろうか。


3月が終わって4月が終わって、

そんなことも忘れていたような気もした月命日の5月がやってくる。


書かなきゃいけないレポートが仕上がらなくて妹のベッドに寝転びながらサボっていた自分。


なんか変じゃないかいつもと違うようなと思いながら通り過ぎていく妹。


全てが過去のことだとは思っていても

なんだか不意にその日のことが思い出されてしまう。


全ては起こった結果から逆算して思い込んでいるだけだ。

ねえちょっと変じゃないなんて言えるわけがない。


彼女の手を振り払ったりなんかするんじゃなかった。

ネイルくらいいくらでも見せてやればよかったじゃないか。


3人でスクリーンに映しながら観た動画。

3人で行ったカラオケ。


その後にいろんなことを埋めるみたいに

2人で行ったカラオケも

2人で撮ったプリクラも


やっぱりなんか欠けているものをみるようで

今はもう姉妹だからと言って何かすることもなくなってしまった。


もう戻らないものなのか。

喧嘩するくらいなら話もしないほうが良い。


ぎこちない雰囲気が流れるなら

一緒の部屋にいない方が良い。


6年経っても元には戻らない。

欠けてしまったものは戻らない。


遺影の写真だけがいつまでも歳を取らないで

遺った自分だけがいらぬ歳をとっている気がする。


もう何も頑張らなくて良い。



そんな日。