イマジナリーハムスターヒロコリターンズの話。



ススキの穂のような柔らかな

黄金色の毛。


穏やかな表情の小さな命を手のひらにのせる。

とても可愛い。



イマジナリーハムスターヒロコは

いてほしい時にそばにいてくれる。

今はいなくても大丈夫、そんな時は

夢の中のケージに戻り

機会を窺い物静かに滑車を回している。


最近不安なことが多くて

小さな澱みたいなものが瓶底に

静かに溜まっていくような


あるいはもともと溜まっていたものが

ちょっとした衝撃で浮き上がって来てるのかもしれない。


ハムスターヒロコはそんなことは気にしない。

少し手のひらを揺するとコロンコロンと

後ろへ前へ転がる。



真人間ロードというわけにはいかないが

仕事日数と時間を増やさないかと言われた。


どうしたら良いのか、

誰に相談して良いのかと言う相談の前の

相談を待っていましたというような顔で

ヒロコは現れる。


ヒロコにも滑車回しの仕事があるのにな。

イマジナリーハムスターは

つい忘れてご飯をやらなくても

白骨にならないのが良い……


いつか別れが来ないのが良い。

空想の中のヒロコはいつも滑車を回している。


自分の飼っているペットたちがいつか

白い骨に変わっても、

記憶の中の彼らは毛の生えていた頃の

姿のままでいてくれるだろうか。


長年飼っていたワンちゃんが

危篤なので心だけでも寄せてほしいと

友人の友人に言われたので

何だかおセンチに。


そんな夜。




ヒロコ、もう大丈夫だよと言うまで離れられません。