ヒロコという名のハムスターの話。



わたしは都内で働いている一人暮らしのOL

朝から終業までずっとパソコンと向き合って

パチパチカタカタやっている。


ワンルームに住んでいて

疲れてはすぐベッドに倒れ込んでいる。


人恋しとは思うが、ひとりでいる時間も

好きなので結婚とかはあまり考えてない。


ベッドに倒れ込んで、目をやると

テレビの隣に小さなケージが置いてある

カラカラと回るまわし車を見る。


わたしは目を細めて笑う。

微笑ましい。


今日とてヒロミは元気だ。

働いてる時のわたしのように

カラカラと回し車を回し続けている。


ヒロミの前にヒロコを飼っていた。

小学生の時分、散歩が必要な犬や

大きなスペースの要る猫は飼えなかった。


ペットを飼いたがる自分に見かねたのか

情操教育にと飼ってきたのか

ある日父が買ってきたのが

ヒロコだった。


陽に揺れるススキのような色の

可愛い生き物だった。


わたしは覚えていないのだが

ある日逃げ出してしまったらしく


ただ当時のわたしは両親によると

わたしにしては割と長く

落ち込んでいたようで

それ以降生き物は飼っていない。


けれど薄情なことにわたしはヒロコのことを

数ヶ月前ペットショップで

似たハムスターに出会うまで忘れていたのである。


ヒロコの代わりにやってきたヒロミ。

同じハムではないが

ハムスターという生き物はとても可愛い。


また明日からの仕事を頑張ろうという

気持ちにさせてくれるのでありがたい。





っていう空想の話。


暑さでジリジリしながら

ハムスターヒロコと

OLの私の空想をしながら

帰路についた。


そもそも最近OLと自称している人が

いるのかわからない。


なんでヒロコなのか。

ススキの穂のような毛色の

ヒロコというハムスターに思いを馳せる。


そんな日。