すべての道はローマに通ずる話。


彼は歩いている。

迷いなく、確固たる意思と共に。

木々は揺れ、風が巻き起こり

地を這い砂埃を踊らせる。


わたしは見ていた。

彼が歩む姿を。

彼は一体どこへ向かっているのか。


彼はどこへ向かっているのか……






どこへ向かっているんだろうな。


代わり映えしないようなルートで

清掃しているが時たま事件が起こる。


トカゲが出たりダンゴムシ

群生していたり大小様々ある。


公園のトイレは公園入り口にある。

のしのしと公園を大人が目指すなら

トイレかと、それは安直過ぎたようだ。


公園奥は木陰になっている以外何も無い。

では彼はどこへ向かっているのか。


わたしは彼を見つめた。

しばらくすると彼は公園と

建物の境の柵に手を掛け乗り越え

元の世界(職場)へ帰って行った。


奥の木陰の先は別の建物に続いていたのだ。

どこにだって道はできる。

探そうと思えばどこへでも。


すべての道は職場に通ず。


この辺は回り道するとかなり遠回りになる。

そういうショートカットは

少しでも休憩時間を有効活用しようという

大人の知恵なのだろうか。


存外スーツで公園を進んでいると

目に留まるものだという発見。


暑さも冷めやらぬ

そんな日。



9月が始まってしまった。