アイリーンと直子の話。


アイリーンは愛しのアイリーン

直子はノルウェイの森


愛しのアイリーンは、いつだったか

ずいぶん分厚い漫画が売ってるなと

思って上巻買ったきりになっていた。


下巻にはなかなか出会えず

ウォーキング前半でヘロヘロになりながら

立ち寄った書店で下巻を見つけた。 


映画が観られたので、映画を観て

下巻の内容はなんとなくわかったつもりでいた。


なんだか強烈な話だったと忘れた頃に

読み直して、こんな壮絶な事が起こり得るのかなんて


頬打たれて脳揺れたりなんかする衝撃をうけたりなんかした。


映画はエンドロール後に続いていたのか

思い出せないけれど


あんな自分に向けて猟銃を向け

笑顔でアイリーンには分からない日本語で

あんまりにもひどい言葉で罵る姑と


雪のなか一緒に暮らして、

最後はあんなことになってしまって

アイリーンは幸福だったのだろうか。




幸福だったのだろうか。


自分の映画の感想はここで終わるのだ。

漫画には後日譚がついていて

何もかもめちゃくちゃな事が起きたけれど

幸福ではありそうだという結末がついている。


それがなんだか一番辛かった。

誰も憎まない、憎んではいるかもしれないけれど

赦して笑顔で居続けられるアイリーンに

自分はなれなくて


追加エピソードで姑さんの過去が語られて

それもまた辛かった。

やっと産まれた何よりも誰よりも大事な子。

誰も悪くない、悪くないことはないだろうが

悪い人はいないのかもしれない漫画なのが

辛かった。


せめて、あいつさえいなければというような

主要人物がいなくて

お前がいなければ誰もが幸せだったんだと言えたら……


誰かが悪者になってくれたら……

人生もそうなのかな………


誰かを悪者に生きているのかな……

誰かお前が悪いって思った日々のことを

思い出して辛くなったりした。


誰も悪くなかったんだと思う。

別れた恋人も死んだ妹も

誰も、誰も。


二日酔いというか悪酔いするような

漫画にばかり惹かれてしまうな。


そんな日。



追記

直子の話もしたかったが

アイリーンについて考えたら

書く余白がなくなってしまった。