文字の群れをなぞるの話。


最近はなんだか心息苦しくて

特に何するわけでもなく陸に打ち上げられた

深海魚みたいに

仕事終わりはなってる。


暑さのせいだ。

そういうことにしておきたい。

またいつもの、みんなは楽しそうなのに

私一人清掃してるみたいなそんな理由ではない。


そういうことにしておきたい。

1日の仕事で一番好きなのはトイレ清掃。

トイレだけ磨いてたい。


多分毎日途方もない量の便器が

右から左へ流れていくのを無心で

磨いていたら白い便器が夢に映りそうな気もする。


でもそうではない、限られた時間の中で

三つの便器をまぁ綺麗になったかなくらいに磨く。

本当はすごく綺麗にしたいけど

洗剤の届かないところはなかなか汚れが落ちない。


自分の限りある人生、時間、

何に使うかは自分次第だみたいな

ご立派だけどそんなセリフが思い出される時

同時にお前はダメ人間の世界一を目指してるのかみたいな

セリフが思い出されたりする。


人間眠らないでいることはできないけど

帰ったらすぐ眠気が来てしまって

映画も見たいゲームもしたい

編み物もしたい、だなんて

とても叶えられない。


久しぶりに本を読んだら、

色んな文字の塊が大挙して押し寄せるみたいな

なんか本を読むの下手になったなって感じ。


山脈の名前がいくつか出てきて

片割れが落ちたので彼女は靴を抱きしめて、

それも谷底に捨てて

一切が過ぎて行った過去を振り返って……


読むペースが早いのか

展開に目が眩みそうになってしまって

もっと、ゆっくり、静かに、読むんだ。


深呼吸してしまった。


映画は相手のペースで進む

本なら自分のペースで進めると思ったが

せっかちなのか、なんなのか

他人の車を運転するような居心地の悪さに酔ってしまった。


パシフィッククレストトレイル、

映画で見た通りなら

あれを遊歩道だと言うのはなかなか手厳しい気がする。


超えてきた人の感想なのだろうか、

自分の想像する遊歩道はまぁまぁ綺麗で

たまに虫が出てはくるけど

トイレットペーパーは設置してあるトイレがあって

たまに芝生は生えてるけど概ね道の形をしている通りがあってみたいな


けして自分の内臓食って糧にしようとかいう

生き物が出ない世界の話だ。


今の時期に暑い中日がな歩いたら

倒れちゃうだろうか。


雨が降らなかったら、

また展示場からの道を歩いて帰ってみようかな……


そんな日。


PS.雨が降らなくても、荷物のある日にそんなことしたら腰を痛める気がする。